2015年11月19日

【報告】「地球温暖化ふせぎ隊」ボランティア研修に協力しました

2015年11月4日(水)北海道環境財団が実施する環境教育事業「地球温暖化ふせぎ隊」のボランティア研修に協力いたしました。

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企業がものづくりする中で行われている環境への取り組みが、あまり伝わっていないことが多いのではないかと考え、「ものづくりにはエコがある」と題して、札幌大同印刷の環境報告書や印刷物、各企業の環境報告書・CSRレポートや実際に身近にあるものを用いて、環境進化する経緯や背景なども含め、企業のものづくりの中の環境への配慮・活動を紹介させていただきました。


北海道環境財団
http://www.heco-spc.or.jp/
地球温暖化ふせぎ隊
http://husegitai.blog.jp/

http://www.heco-spc.or.jp/husegitai/index.html
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2015年06月16日

【告知】なまら便利なバスマップ

【札幌市内・近郊】「なまら便利なバスマップ」

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モビリティ・マネジメントを通して作成され、札幌市内全域(江別市大麻地区などを含む)の公共交通路線図で、バス(6社)、地下鉄、電車、JR全てを網羅したマップです。
今回から、新千歳空港連絡バス、丘珠空港連絡バスも掲載された、NPO法人ゆうらん様発行の札幌市公共交通路線図「なまら便利なバスマップ」を、モビリティ・マネジメントの趣旨に賛同し、配布場所として協力いたします。

▲モビリティ・マネジメント(Mobility Management、略称MM)
多様な交通施策を活用し、個人や組織・地域のモビリティ(移動状況)が、社会にも個人にも望ましい方向へ自発的に変化することを促す取り組み。様々な運用施策やシステムの導入や改善、実施主体となる組織の改変や新設などを持続的に展開し、渋滞や環境問題、個人の健康などといった問題に配慮しつつ、過度に自動車に頼る状態から、公共交通機関や自転車などを賢く使う方向へと自発的に転換していくことを促すこと。


[ホームページ]
NPO法人ゆうらん http://www.yourun.net/
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2012年01月07日

EPO北海道 有坂さんA

「持続可能な取り組みが環境を守る」

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環境省北海道環境パートナーシップオフィス 有坂美紀さん

第一次産業と環境の両立を考え、持続可能な地域づくりのアプローチを続ける有坂さんにお話を伺いました。





大沼で持続可能な地域づくり

インタビュアー(以下EC):以前、有坂さんが「農林水産業にアプローチをしたい」とお話されていたのですが、その後のどういった展開をされていたのか教えていただけますか。

有坂さん:そうですね。なぜ農林水産業かというと、酪農学園大学で酪農を勉強し、水産専門紙の記者をしていた経験から、一次産業が環境に与える影響について考えさせられる機会が多くあったためなんですね。第一次産業は自然環境と直接関わりがあるため、そこが持続的じゃないと環境破壊に直接つながってしまいます。

今、大沼で第1次産業の方たちを含めた地域の方々に話しを聞きながら、大沼の環境保全活動を進めるための事業を展開しています。実は、大沼の水質は30年以上環境基準を上回っています。もちろん、地域の人たちも水をキレイにしたいと思っています。でも水質に関しては利害関係が複雑で、関係者間だけでは上手く調整できない状態が続いています。EPO北海道としては、大沼を持続可能な地域にしていくために、利害関係者が地域の持続可能な発展について、話しをしてもらうための場づくりを行っています。

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去年(2011年)9月、大沼はラムサール条約登録湿地の潜在候補地に選ばれました。ラムサール条約は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が正式名称で、この条約の基本原則は「Wise Use(ワイズユース)=賢い利用」であり、湿地保全をしつつ、いかに湿地を持続的に利用していくかというものです。大沼では周辺で一次産業が営まれ、観光業も盛んで、ラムサール条約は大沼にぴったりで、ラムサール条約の登録に向けてEPO北海道も協力させてもらっています。

具体的には、ラムサール条約に登録されたら地域としてどのような活動ができるのか、第一次産業と環境の両立をしていくためにはどうしたらいいのかなど、地域の人たちみんなで考える場をつくっているところです。

まずは顔の見える関係づくりが必要だと思っています。それには部外者であるEPO北海道も関係者の方の考え方や活動について知る必要があります。そのため、考えられる利害関係者の方に対して、どういう大沼にしたいのか、そのために何ができるのかなど、一通りお聞きしました。一段落したタイミングにラムサール条約の話が持ち上がり、これを使ってこれからの大沼のまちづくりの話をしていこうと思っています。

話を聞きに行くと、それぞれ環境を守るためにできる限りの対策を講じていて、本当に努力しているんですね。でもそれが周りに伝わっていない。だからこそ、お互いの顔が見える関係づくりが必要だと思っています。

EC:みんなが前向きな意見を出せるように持っていきたいですね。

有坂さん:みんなで建設的に大沼のことを考えられる場を作っていきたいと思っています。地域の人たちがお互いを理解し合う関係になれば、おのずと環境保全につながると思っています。地域の人たちが環境のことを考えなければ、持続可能な地域づくりはできないので、まずは地域の人たちがお互いを理解し合うことから始めようと思っています。

EC:大沼進行中ですね。

有坂さん:はい、大沼にチカラ入れてます。

EC:後程ESD(国連持続可能な開発のための教育の10年)の取り組みを聞こうと思っていたのですが、大沼の取り組みはまさにESDそのものという感じですね。

有坂さん:はい。大沼はESD事業のひとつで、ESDの地域モデルづくりとして展開しているんです。

環境問題は様々な要因が複雑に絡み合っています。そのため、地域経済を支える第一次産業や観光業などのほか、行政、教育機関など様々な分野の人たちが広い視野で考え、取り組んでいく必要があります。大沼でも持続可能な地域づくりについて、分野を超えて、さらに大人も子どもも一緒になって考えるということが大切だと考えており、その過程自体がESDでいう教育だと思っています。

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昨年夏、ラムサール条約を活かした地域の未来を考えるための地域フォーラムを大沼の国際セミナーハウスで開催しました。大沼の方々向けにラムサール条約に登録された後の参考になればと、霧多布湿原ナショナルトラスト(浜中町)理事長・三膳さんやラムサールセンター(東京)事務局長の中村さんなどを講師にお招きしました。講師の方々には、住民を巻き込んだ環境教育の取り組みや各湿地での活動などの事例を紹介していただきました。また、地元の大沼小学校で行っている環境学習について生徒さんたちに発表してもらいました。

EC:話し合いの中には第一次産業や環境団体の方々とともに、観光関係などの企業も当然入ってくると思うのでCSR(企業の社会的責任)という部分にもつながることが出来ますよね。

有坂さん:そうですね。大沼周辺の企業もそうですし、ホテルなども大沼の観光協会の中に入っていますからね。やはり持続可能ということを考えたら観光と環境を絡めて地域にお金が落ちるような仕組みを考え、経済面でも地域が自立できるようになることが重要だと考えています。

EC:企業と第一次産業との接点が結ばれて問題点が解決出来たり、地域ブランドの商品開発などにもつながる可能性だってありますよね。

有坂さん:もちろん環境教育だけでなく、実際にラムサール条約に登録された湿地で生産されたお米が、ブランド米となって高く売られているという事例もあります。そういった可能性は十分あるんですよ。

お互い知恵を出し合えば可能性は広がりますよね。相互理解を進めるための一歩を踏み出せるかどうかだと思います。そして、ラムサール条約という価値の付いた商品が売れることで、環境保全がお金になるという認識を持ってもらい、環境保全にも力を入れてくれるようになればと思っています。

特に、3.11の震災以降、エネルギーや環境汚染の問題に対してこれまで以上に敏感になっていますよね。このため、“環境配慮”という価値の付いた商品を求めている人が多くなっていると思います。大沼でもラムサール条約を活用した商品を開発し、販売することは十分可能だと思います。

EC:では、大沼以外でESDに関する動きはありますか。

有坂さん:大沼以外でもESDを北海道内で推進している方たちを集めた交流会や、北海道ならではのESDプログラムを考えてもらうワークショップなども開催しています。

特に今、ESDのテーマとして考えているのは“震災”です。被災地でも結びつきの強さによって復旧の速さに違いが出たという事例が多くあります。それぞれ立場の違う者同士が意見を出し合い、つながりをきちんと持っている地域は、災害時などのいざという時に強いようです。この考え方は持続可能な地域にもつながると思うんです。では、いざという時に強い地域になるためにはどうしたらいいのか、何が必要なのかということを考えるフォーラムの開催を予定しているところです。

▲ラムサール条約
水鳥を食物連鎖の頂点とした湿地の生態系を守る目的で、1971年に制定された湿地の保存に関する国際条約。条約が採択されたイランの町名にちなんでラムサール条約と呼ばれる。正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」。


▲ESD(国連持続可能な開発のための教育の10年)
持続可能な開発の実現に必要な教育への取り組みと国際協力を、積極的に推進するよう各国政府に働きかける国連のキャンペーン(2005年〜2014年)。


▲ナショナルトラスト
自然は貴重な財産として守り、次世代へ引き継いでいくための活動。


▲CSR(企業の社会的責任)
CSR(Corporate Social Responsibility)は「企業の社会的責任」と訳され、企業が利益、経済合理性を追求するだけではなく、ステークホルダー(利害関係者)全体の利益を考えて行動すべきであるとの考え方で、環境保護のみならず、法令の遵守、人権擁護、消費者保護などの分野についても責任を有するとされている。



ブラキストン線を越えようプロジェクト

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EC:「ブラキストン線を越えよう!プロジェクト」の取り組みを聞かせていただけますか。

有坂さん:震災直後から、東日本大震災に関する役立つ情報をEPO北海道のホームページなどを通じて発信することで、被災地を支援しようと始めたプロジェクトです。名前の“ブラキストン線”とは、青森と北海道を隔てる津軽海峡にある生物が渡ることができない境界線のことで、生物はブラキストン線を越えられなくても人の思いは越えられると考え、北海道から東北地方に思いを届けようと始めました。

震災後、すぐに日ごろからお付き合いのある環境団体などが被災地に入ってがんばっていました。これは「応援しないと!!」と思ったんですね。被災地での活動は直接的には自然環境保全ではないので、もしかしたらEPO北海道が震災支援をするのは違うのではと思う方もいるかもしれません。ただ、環境保全は人の暮らしが成り立っているからこそ考えられることが多く、震災でなくなってしまった暮らしの基礎を築くという支援も、ひいては環境保全につながっていくと思うんですね。支援することでいずれは環境保全につながるということであれば、支援する意味が十分あると思っています。

環境に携わる方たちは、日頃から地域や環境の持続可能性を考えながら活動している場合がほとんどです。これまで環境保全活動をしてきたからこそできる環境団体ならではの、支援のスタイルがあると思うんです。被災地の支援には、これまで培ってきた活動をぜひ活かして欲しいと思いますし、長期的な視野で支援できるのは環境団体の強みだと思います。一方で、活動を続けてもらうためには団体への継続的な支援が必要です。EPO北海道の役割は、1.被災地支援を行っている団体に対する助成金や人材に関する情報提供、2.被災地支援団体や被災地の状況に関する情報収集・発信だと思っています。

EC:一般的に環境団体というと森林保全やごみ問題とかのイメージが強いと思うんですけど、実際は持続的な考えの下、子どもたちを対象とした環境教育や人と自然や生き物、そして人と人のふれあいとか幅広く活動していて、経験も実績もあるじゃないですか。だから私も環境団体こそ被災地の人たちのメンタルケアだとか、持続可能を念頭に置いた復旧・復興のお手伝いが出来るのかなって思ったので、自分も北海道の団体を何らかのカタチで支援出来たらいいなと思ってるんです。ただ、こういった現地の活動がなかなか伝わってこないということもありますね。

有坂さん:そうなんです。多くの場合、被災地での活動を知らないんですよね。運営規模の大きい団体は知名度もあるから寄付などの支援が集まりやすいとは思うのですが、小規模でも被災地に入って地道に活動している団体もあります。そういった団体のことも知ってもらい、みなさんに応援してもらいたいですね。そのために、EPO北海道は情報発信によるお手伝いができると思っています。

震災支援の特設ページを開設した当初は、EPO北海道と関わりのある環境団体の支援をしていくためのページにしようと思っていたんです。でも、情報収集を始めてみると、現地では行政自体が崩壊している地域もたくさんありましたし、被災者の方たちに情報が充分に届いていないと感じました。情報を得るための窓口が1つでも多くあれば、必要としている人に届きやすくなると思い、生活支援の情報なども載せるようにしたんです。震災情報に関しては、収集・発信できる者がやればいいことだと思います。

EC:そうですね。一人に情報を得てもらえればそこから広がる可能性もありますからね。

有坂さん:情報にアクセスできる窓口はいっぱいあってもいいと思ってるんです。EPO北海道もその一つを担っていきたいと思っているんです。

EC:被災地のひとつ仙台にもEPO東北がありますが、何か連携されていますか。

有坂さん:EPO東北は、被災地の環境団体を中心に3月11日の時点でどのような状況にあって、今どのような活動をしているかというインタビュー記事を30ヶ所以上掲載しています。必要としている支援や困っていることなどもインタビューに含まれています。これらの情報は少しでも多くの人に知ってもらいたいので、EPO東北で出している情報をEPO北海道でも出すことがあります。北海道の人たちに少しでも東北の状況を知ってもらえると、支援につながるかも知れないと思っています。

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EC:有坂さん自身、何度か被災地に行って来られたそうですね。

有坂さん:最初は5月末に宮城県石巻市や南三陸町、気仙沼市などを見てきました。でも、何だか分からなくなったんです。被災現場を見たらあまりにもすごくて。もう何から手を付けていいのか、一体何ができるのか分からなくなったんです。すごく無力感でいっぱいになっちゃったんです。本当に何もないんです。波にさらわれる前の風景を知らないから、ただの空き地みたいな…。でもコンクリートの土台や骨組みだけの建物、4、5階建ての建物の上に船があって、「何なんだろうこれは…」って。鉄橋は流されているし、海水を被った木は枯れているし、何もできることがないって、本当にお手上げ状態でしたね。

現地に滞在しながら支援活動ができれば一番ですが、それは無理なんですよね。現地にいなくてもできる支援は何だろうって、被災現場を見ながら考えました。でもやっぱり情報を発信することしかできないって思ったんです。「もう、それしかできないや!」って、やり始めていたブラキストン線での情報発信を続けようと改めて思いました。それが部外者のできることかなと。直接的には支援ができないので、私たちの代わりに活動してくれている団体を支えようということが、実際に行ってみて私自身感じたことですね。

EC:被災地にいち早く動いていた災害救援ネットワーク北海道さんやNPO法人ねおすさんがブログに現地の写真を掲載していたのですが、まるで映画のワンシーンでも見ているかのようでしたね。私も被災地に行きたくても行けないので、そのブログを見ながら被災地で活動されている団体の支援ができたらいいなって思いました。震災から少しして環境NGO ezorockの草野さんから、若者向けのTシャツなどが足りないという情報が来て、あっ、これって今自分に出来ることのひとつだなって思って、すぐ会社で声を掛けてTシャツを集めて送りました。

有坂さん:やれることは人それぞれなんですよね。自分ができることをやればいいと思うんです。どの団体も活動資金は不足しているので、お金を寄付してくれるとありがたいし、1日でも被災地に行くことができるなら行ってほしい。ただ見に行くだけというのはあまり良いことではないと思うかもしれませんが、岩手県で活動する遠野まごころネットの方も「実際に来て、見てほしい」とおっしゃっていましたよ。

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EC:興味本位で来るボランティアが多いということを聞きましたが。

有坂さん:現場を見れば、ほとんどの人が何か思うことがあるはずです。もちろん、「おぉ、すごいな」って思うだけで帰る人もいると思いますが、実際に行って見ると、いろいろ考えさせられると思うんですよ。まず、考えるところから始まると思うんです。行動は次の段階ですよね。手伝う時間がないとしても、見る時間だけでも作れるのなら、それだけでも行った方がいいと思います。大抵の人は何か感じて、行動したくなると思いますね。

現地にはビックリするくらい頑張っている人たちがいますからね。被災された人たちもいるし、どんな暮らしをしているのかを見たら自分を変えたくなりますよ。

EC:紀伊国屋さんのインナーガーデンで避難所用の紙管を用いた間仕切りが展示されたので見に行ったんですけど、そこに人が住んでいるわけでもないのに、見ているだけで胸が詰まっちゃっいましたね。また、これでも良くなっているというのを聞いて、更にこの展示の時点でまだ間仕切りもない避難所で生活をしている人がたくさんいるというのを聞いて言葉も出せませんでした。だから現地に行った人はかなり考えさせられるんだろうなって思いますね。

有坂さん:やっぱり最初は呆然としてしまって、「何もできない」って多くの人が思うんじゃないかなとは思うんですけど、何もできないことはないと思います。たとえば1円でもお金を出すことはできますよね。また、現地で見てきたものを伝えることによって、そこから何かが広がるんじゃないかとも思いますしね。気づいた人がやれることをやればいい。EPO北海道では、一人でも変われるきっかけになるような情報を出し続けていければいいと思っています。

EC:このアースデイ・カフェから有坂さんのお話を発信することが、できることのひとつかなとも思いますし、これをきっかけに何かに気づく人や行動してみようと思う人がいたら嬉しいですね。今日はどうもありがとうございました。

▲避難所用の紙管を用いた間仕切り
国際建築家 伴 茂 さんの活動「ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)」として、東日本大震災の被災者のためにコストを抑え、簡単に設置出来る紙管を利用した「紙管を用いた避難所用間仕切り(PPS4)」を無料で供給。避難所でのプライバシー保護や被災者の精神的な苦痛を軽減に役立てられている。






▲環境省北海道環境パートナーシップオフィス(EPO北海道)
持続可能な社会の形成を目的として、環境保全活動を促進する基盤づくりを目的に活動する環境省のプロジェクト。



EPO北海道 http://www.epohok.jp/
北のCSR http://www.epohok.jp/hcsr/
ブラキストン線を越えようプロジェクト http://www.epohok.jp/modules/blakiston/

EPO東北 http://www.epo-tohoku.jp/


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2011年12月20日

EPO北海道 有坂さん@

『持続可能な取り組みが環境を守る』

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環境省北海道環境パートナーシップオフィス 有坂美紀さん

「持続的じゃないと環境破壊に直接つながる」と、第一次産業と環境の両立を考え、持続可能な地域づくりのアプローチを続ける有坂さんにお話を伺いました。





私、相当な生き物マニアです

インタビュアー(以下EC):環境省北海道環境パートナーシップオフィス(以下、EPO北海道)で、持続可能な社会形成を目的とした環境保全の促進に努めるとともに、最近では東日本大震災に関する情報の発信に取り組まれている有坂さんにお話を伺っていきたいと思います。今日はよろしくお願いします。

まずEPO北海道のお話をお聞きする前に、有坂さんが環境保全活動に興味を持つきっかけというのをお話ししていただけますか。

有坂さん:そもそも物心がついた時から虫でも何でも、とにかく生き物が大好きだったんです。

EC:そうだったんですか。今までそういう話をしたことがなかったですね(笑)。

有坂さん:そういえばそうでしたね(笑)。

私はたぶん相当な生き物マニアでオタクの域だと思います。

EC:そういうイメージがまったくありませんでしたね。

有坂さん:引かれるくらい大好きなので、普段はなるべく出さないようにしてるんです(笑)。小学生の頃は、動物といえば有坂さん!って感じでみんなに思われていましたね。クラスの飼育係りを決める時も、学校の飼育委員長を決める時も、瞬間的にみんなが「あ〜有坂さんね!」って感じでした(笑)。

大学も動物の勉強がしたくて酪農学園大学の短大で酪農の勉強をしました。卒業を前にしてもっと生き物のことを勉強したいと思ったんですね。ただ、生き物が好き過ぎて、どの生き物を研究するか決められませんでした。そこで、自然の環境としてはどちらかというと海が好きなので、海の生き物のことが勉強できる島根大学に編入し、ヤドカリの研究をしました。

EC:ヤドカリのことをよく知らないのですが、どのような研究をしていたのですか。

有坂さん:ヤドカリって、すっごく可愛いんです(笑)。

ヤドカリは世界中の海に生息していて、種類も比較的多いんですよ。調査のため、ヤドカリをいっぱい捕ってくるんですけど、採集用のバットに入れた瞬間から貝殻の奪い合いが始まるんです。より住みやすい家を確保するためにガンガン身体をぶつけ合うんです。動きがあるのでとっても面白いですよ。自分のサイズに合うかどうか、ハサミを広げて貝殻を計る仕草がまた可愛い(笑)。ちなみに、ヤドカリは左右のハサミの大きさが違うんです。左のハサミが大きくて、右のハサミは小さくなっています。オスは小さい方のハサミでメスを持ち歩いて、大きいの方のハサミで他のオスと戦うんです。

ほんとにヤドカリって可愛いんです(笑)。

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有坂さん:ところで、島根県には宍道湖(しんじこ)と中海(なかうみ)という汽水湖(きすいこ)があるんですけど知ってますか。

EC:いえ、知らないです(笑)。

有坂さん:そうですよね(笑)。この湖は海につながっていて、淡水だけではなく海の水が混ざっている“汽水湖”なんです。

EC:サロマ湖と一緒ですね。

有坂さん:そうです。サロマ湖とか厚岸湖などと一緒で、海とつながっているんです。

中海にはヤドカリが1種類しか生息していないのですが、中海から一歩海に出ると浅瀬だけでも5種類のヤドカリが生息しているんです。中海と同じ種類のヤドカリは海にもいるのですが、中海のヤドカリに比べてサイズが小さいんです。中海は汽水湖なので塩分濃度が低く、他の種類のヤドカリは中海に生息することができず、競争相手のいない中海のヤドカリは大きくなれるのでしょうね。

ヤドカリは、入っている貝殻の大きさで体のサイズが制限されます。大きくないと他のオスに勝てず子孫を残せないため、少しでも大きな貝殻を常に探しているんですよ。だから貝殻の奪い合いがすごく重要なんです。島根にはそんな面白い環境があって、中海のヤドカリがどれほど低塩分の環境に強いのか、海のヤドカリとの違いを比較する研究を大学でしていました。

大学生だった当時、この中海を干拓によって農地にし、淡水化した水を農業用水として使うという計画がありました。ただ、汽水というのは、非常に生物多様性の高い貴重な場所なので、生物の研究者などは計画の見直しを進めようとしていました。そもそも、この計画は50年ほど前につくられたもので、既に時代背景は大きく変化しており、計画にあるような広大な農地は必要とされていませんでした。

やっと2000年に公共事業の見直しがあって、干拓が中止になったんです。ただ、すでに中海を仕切る干拓堤防ができていたため、水が循環し難くく、貧酸素水塊(ひんさんそすいかい)ができてしまう場所が多くありました。今は生物に必要な酸素を水中に送り込むための潮通しトンネルを作るなど、水を循環させる取り組みが始まっていて、だいぶ回復してきたみたいですね。

松江の街の地図を見てもらうとわかるんですけど、街中に水路が張り巡らされていて、水の都とでもいうのか、良く言うとベニスみたいな感じです(笑)。用水路の中を魚が泳いでいたり、カメが甲羅干しをしていたり、ほんとうに松江って風情がいいところなんです。

また島根は歴史のある街なので、“黄泉の国の入口”もあるんですよ。

EC:ちょっと神がかった感じのところですよね。

有坂さん:10月は“神無月”ですよね。でも、島根県では全国の神様が出雲大社に集まっているので、“神在月”なんです。

EC:それは聞いたことがあります。

有坂さん:だからというわけではないですが、出雲大社は他の神社とは違う雰囲気を持ってるんです。屋根が苔むしていて、造りもちょっと他の神社とは違う感じです。ぜひ行ってもらいたいところですね。

松江は、もう一度住んでもいいと思える場所です。

EC:島根大絶賛ですね(笑)。

有坂さん:はい(笑)!

▲汽水湖(きすいこ)
海水と淡水とが混じり合っている湖で、海と湖が開水路を通じて交流のある場合が多く、日本ではサロマ湖・浜名湖・宍道湖などがある。


▲貧酸素水塊(ひんさんそすいかい)
水中容存酸素量が極めて不足して孤立した水塊。あるいはこのような水塊が占める水域のこと。この水塊によって海中に生息する生き物の大量死が発生し、漁業や養殖業といった水産業に多大な打撃をもたらすことがある。



海に関わることを、海に関わる人たちに伝えたい

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有坂さん:大学3年の時、全国の国立大学にある臨海実験所へ実習に行けるという授業があり、その中で唯一、北海道大学だけが哺乳類のことを勉強することができたので、厚岸にある臨海実験所の実習に参加しました。

厚岸の沖には“大黒島”という無人島があり、ゼニガタアザラシが一年中暮らしています。帯広畜産大学のゼニガタアザラシ研究会がよく来る場所なのですが、コシジロウミツバメが島中に巣穴を掘っているため、あちこちにボコボコ穴が空いているんですよ。日本有数の海鳥繁殖地として、国の天然記念物にも指定されているほどで、ほんとうに鳥だらけの島なんです。

EC:人が近寄っても平気なんですか。

有坂さん:足もと全部が巣穴ですけど大丈夫です(笑)。とにかく鳥だらけで、それまであんなに大きなコロニーには入ったことがなかったので、すごく感動しましたね。

EC:怖いじゃなくて、嬉しいそうですね。

有坂さん:嬉しいんです(笑)。カモメも営巣をしているんですけど、結構攻撃的なので頭スレスレまで飛んできたりしますけどね(笑)。

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EC:厚岸ではどのような研究をしていたんですか。

有坂さん:厚岸湖で「アマモ」と「付着藻類」と「アミ」の3者の関係について研究していました。アミはエビに似た甲殻類なのですが、湖に繁茂している「アマモ」の表面に付着する「藻類」を食べるんです。そうすると「アマモ」の葉の表面が出てくるため、光合成しやすくなり成長もよくなるわけです。“食べる”という行為が他の生物の成長を促すなど、生態系には様々な機能があり、複雑な関係の上に生物が生きているということが分かりました。

EC:以前は水産系の記者だと伺いましたが、厚岸での研究があってということなんですか。

有坂さん:そうです。海の生きものの研究者になりたくて大学院に入りました。研究自体はおもしろかったのですが、研究者の世界が狭く感じられて…。だんだんといろんな物を見たいし、いろんな所に行きたいし、いろんな人にも会いたいって思ってしまったんです(笑)。

EC:そこに納まるのが嫌になってしまったということですね。

有坂さん:そうなんです。

周囲の人は研究者を目指して、本当に真摯に研究に取り組んでいました。一方で、世のためになりそうな研究をしているのに、その成果が世の中に全然出ていかないと感じていました。研究の成果をもっと役立たせるために、「外に外に出さないと!」って思い始めたんです。

じゃあ、「伝えるにはどうしたら良いんだろう?」って考えたときに“マスコミだっ!”て思いました。マスコミに入れば一度に多くの人に情報を発信できますよね。ただ、一般紙だと海のことが書けない部署に回されるかもしれないので、海専門の取材ができる新聞社に行こうと思ったんです。海に関わることを、海に関わる人たちに伝えたい。それで、水産業界紙の記者になりました。

EC:何年ぐらい記者をしていたのですか。

有坂さん:東京で3年弱ぐらいです。毎朝築地に行って、おじさんたちにお話を聞くんです。今日はどこどこ産の魚がいっぱい入って値が下がったとか、今日は何々という魚が解禁になって今年始めて荷揚げされたとか、そういう話を聞きに行くんです。朝は築地から始まるという感じでしたね。そのほか、水産庁や魚屋さん、スーパーにお寿司屋さんなどにも行きました。魚に関係するところであればすべてが対象です。途中から養殖担当になったので、養殖魚の餌だとか、養殖用の網に塗る防汚剤などの資材関係の会社や研究機関、実際に養殖場にも行きました。


海の環境問題にもトライしたい

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EC:水産関係の記者から転職しようと思ったきっかけはなんですか。

有坂さん:基本はやっぱり生き物が好きなんです。だから、「なぜ私は自然の少ない東京にいるのか…。」って疑問に思い始めて。また、最初は伝えたくて記者になったにも関わらず、伝えるだけの仕事だなと思ってしまったんですね。自分では何もしていない、誰かが何かをしたことを記事にするだけで、その記事の内容も自分が関わったものでも何でもなくて、誰かがやったことというのが、すごく物足りなくなってきてしまったんです。「自分で何かしたい!」って思ったんです。そもそも自然や生き物が好きなので、その方面にどっぷり浸かれるようなことがしたいと思い始めたんです。

海外にも興味があり、調べてみるとオーストラリアは地域住民を巻き込んだ環境保全活動が盛んな国だということが分かり、記者を辞めてオーストラリアに行ったんです。


EC:あっ、北海道に来る前はオーストラリアに行ってたんですね。

有坂さん:そうなんです。以前から、環境は地域の人たちが動かないと変わらないと思っていました。オーストラリアはそういった活動が盛んだったんです。それで現場を見たくて行っちゃったんです(笑)。1年間だけだったので、そんなに多くのことは体験してはいませんが、タスマニアに滞在した時はペンギンの家をつくったりとか…

EC:ペンギンの家をつくる?

有坂さん:タスマニアやオーストラリア南部には、「リトルペンギン」という世界で一番小さいペンギンがたくさん生息しています。夜になると、エサを獲ってきた親が行列をつくって帰ってくるのを身近に観察することができます。このペンギンは土に穴を掘って巣を作るのですが、猫や犬などが巣穴を掘りおこし殺してしまうんです。この問題を解決するために、草などを混ぜた環境に負荷の少ないコンクリートでペンギンの巣穴をつくるんです。ペンギンはすごく小さいので、入口を猫や犬では入れない大きさにして設置するんですよ。

EC:面白そうですね。

有坂さん:ほんとに面白いですよ。いろんな国の人たちが来ていて、私はイギリスと韓国の人たちと共同生活をしながら、みんなで巣をつくったり、外来種の駆除をしました。

イギリス人がタスマニアに入ってきた時、同時にガーデニングが伝わってきたそうです。この時、外来種が持ち込まれ、繁殖してしまったんですね。特に「ブラックベリー」は棘があるため、海と陸とを行き来する「リトルペンギン」の体に絡まってしまうので駆除する必要があるんです。

EC:外来種といえば以前見たテレビ番組で、タスマニアにはいないはずのヒトデが、ホタテの養殖をダメにしてしまったというのを見たことがあります。原因は日本の船舶によるバラスト水によって多くの微生物を運んできたことだと言っていました。モーダルシフトが二酸化炭素の排出が少ないから良いという見方もある一方、片方では別の問題を生んでいるんだなぁと、実際現地に行ってみないとわからないことっていっぱいあるんだろうなって思いました。

有坂さん:バラスト水は問題ですね。荷物を積んでいない船のバランスを安定させるために、バラスト水が必要なんです。

船を空にして帰るより、何か売れる物を積んで帰った方が経済的にも良いはずですよね。ただ、簡単にアレンジできるほど物の売買は簡単ではなく、手間のかかることなのでしょうね。海の中は通常は見えないため一般的に関心が薄く、バラスト水に関してもそれほど大きく取り上げられていないというのが現状だと思います。

バラスト水は積み荷と一緒に大量の外来種を別の場所に運んでいるので、ほんとうに問題です。バラスト水の中にはもともとその場所に生息していない、目に見えない微生物が何万といるわけだからすごいことなんですよ。国際的にもバラスト水を使わないようにと、規制が検討されはじめているようです。

地上のことは結構見えるけど、海の中は見えないため関心を持たれにくいのかなと思います。でも、だからこそ、海の環境問題にもトライして行きたいなと思っています。

▲外来種(がいらいしゅ)
ペットや街の緑化、農作物など害虫の天敵など、人為的に他の地域から持ち込まれた生物のこと。在来の自然環境や野生生物に深刻な悪影響を及ぼすケースが多く、経済にも重大な影響を与えることがあり、環境問題のひとつとして扱われる。


▲バラスト水
船舶のバラスト(底荷・船底に積む重し)として用いられる水のこと。バラスト水は無積載で出港する際、出港地の海水などをバラストタンクに詰め込み、立ち寄る港で荷物を積載される代わりに船外へ排水される。その際、バラスト水に含まれている水生生物が外来種として生態系に影響を与える問題が指摘されている。


▲モーダルシフト
貨物輸送において、より効率的で環境に優しい輸送手段に転換を図ること。トラックや航空機による貨物輸送を、二酸化炭素の排出量が少なく、エネルギー効率が高い鉄道や船舶による輸送に転換を図ることをモーダルシフトという。




次回はEPO北海道の活動で、ESD事業の一つでもある大沼での取り組みや東日本大震災への支援活動などのお話をお届けします。

▲環境省北海道環境パートナーシップオフィス(EPO北海道)
持続可能な社会の形成を目的として、環境保全活動を促進する基盤づくりを目的に活動する環境省のプロジェクト。


EPO北海道 http://www.epohok.jp/
北のCSR http://www.epohok.jp/hcsr/
ブラキストン線を越えようプロジェクト http://www.epohok.jp/modules/blakiston/



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2010年11月15日

札幌市環境プラザ 高森さんA

「環境を通してつながっていくことが大切」

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札幌市環境プラザ 高森美希子さん

「身近なことから世界規模までの環境問題を知る入り口的役割として、利用する人たちの様々なニーズに応えていきたい」「日常生活の中で、自分たちに何が出来るかということを考えるきっかけになれば」と来館者との関わりを大切にする高森さんにお話を伺いました。





環境問題への入り口的役割

インタビュアー(以下EC):札幌市環境プラザを含む4つの施設が入った札幌エルプラザ公共4施設(以下エルプラザ)について簡単に説明をしていただけますか。

高森さん:1階は男女共同参画センター、2階に消費者センターと市民活動サポートセンター、そして環境プラザがあります。男女共同参画センターは男女共同参画社会を実現するための活動を支援する拠点施設として講座やセミナー、講演会などの事業を行っています。研修室、ホールなど様々な活動でご利用いただける有料の貸室などもご用意しています。消費者センターは運営が社団法人札幌消費者協会になり、消費者の生活相談窓口やセミナーなどを開催しています。市民活動サポートセンターは市民活動をされているNPOや市民団体の方の支援として無料で活動できるお部屋や印刷機の利用など、様々な形で活動のサポートをしています。

▲札幌市男女共同参画センター http://www.danjyo.sl-plaza.jp/
▲札幌市消費者センター http://www.shohi.sl-plaza.jp/
▲札幌市市民活動サポートセンター http://www.shimin.sl-plaza.jp/

EC:では、いよいよ環境プラザのお話をお聞きしたいと思いますが、まず環境プラザの場所や営業時間を教えて頂けますか?

高森さん:場所は札幌市北区北8条西3丁目で札幌駅北口から地下歩道で直結していてエルプラザの2階。営業時間は9時から18時までとなっています。

EC:2階にエレベーターを上がるとたくさんの展示物が目に入ってきますね。

高森さん:はい。子どもたちが色々な展示物を触って体験出来るなど、環境問題に気づくことが出来る施設になっています。学習するというよりも気づきの場という感じですね。実際に身近なことから世界規模な環境問題まで、地球に今どんなことが起きているのか、まず子どもたちに知ってもらうところから始めるということで、環境問題を知るきっかけ、入り口的役割を果たすのが環境プラザだと思っています。

EC:確かに展示物には私たちの暮らしに身近なテレビや冷蔵庫、トイレなどといった物がたくさんありますね。

高森さん:そうですね。家庭や暮らしの中で身近なものから始まる環境問題から、地球儀などを用いた世界的規模の環境問題まで展示物をとおして知ることができます。

環境プラザの入り口に大きな地球の模型がありますが、環境問題は一つではなく、色々なことが絡み合って起きている問題なんだということを知ってもらうために、環境プラザの地球の周りには7つの支柱があります。

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高森さん:その支柱には水や食、エネルギー、生態系といったキーワードがあって、それらが深く関連して様々な環境問題を引き起こしているということを、子どもたちに知ってもらうための展示となっています。

地球儀は実際の地球を1メートルに縮小したサイズになっていて、例えば柱の一つに水の展示物があるのですが、実際に地球が1メートルだとすると、私たちが生活に使える水はわずかスプーン一杯分しかないということを子どもたちに見てもらうと「えーこれだけなの?」って驚きます。スプーン一杯分の水を日本の人たちだけではなくて、世界中の人たちがみんなで分け合って使わなければいけないよね。それじゃそのために私たちはどうすればいいの?って、敢えて私たちは答えになるようなことは言わずに問いかけるんです。子どもたちがじゃあどうしたら良いんだろう?って、私たちの生活の中で出来ることって何かな?ということを自分たちで考えてもらいたいんです。

また、環境問題ってすごく多岐に渡っていて、国とか人によって問題の捉え方も大きく違ってくると思います。何が正しいのか?って、なかなか結論が出ないこともありますよね。

EC:こちらが良くなればこちらにシワ寄せが来るなんてこともありますからね。

高森さん:そうなんです。ここは子どもたちが自分たちなりに環境問題について、考えるきっかけになるための施設だと思っています。そして気づいて行動につながるような投げかけをしていけたらと思っています。

EC:今の子供たちは環境問題のことを結構知っていますよね。以前、ボランティアで伺った厚別区の児童会館で、ごみに関するゲームをお手伝いした時「紙はビリビリに破いて捨てたらダメなんだけどなぜだか分かるかな?」って聞いたら、「紙は繊維で出来ているから破ると繊維が小さくなって、リサイクルが大変になるんだよねー」って小学校1年生の女の子に言われて、子どもたち侮れないなって思いましたもの(笑)。

高森さん:侮れないですよ。みんな結構知っていますからね(笑)。

EC:親御さんより詳しいかもしれないですね(笑)。


様々なニーズに合わせて

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高森さん:環境プラザは普段、自由に展示物を見て頂いていますが、学校や町内会などから見学に来られる時は、事前にご連絡頂ければ職員が展示物の解説を一つ一つ致しますし、対象や要望など様々なニーズに合わせてプラザ内を見学していただくことが出来ます。

EC:プラザの見学ツアーですね。

高森さん:そうです。展示物の見学の他に環境体験プログラムなどを用意しているので、100人来ても大丈夫なんです(笑)!

EC:どこかで聞いたフレーズですが(笑)、本当ですか?

高森さん:本当です(笑)!100人来られた場合は3つのグループに分けローテーションを組んで対応します。1グループは展示物の見学、1グループは映像や工作・実験などを体験してもらいます。もう1グループはエルプラザ屋上の太陽光パネルの見学いう形で行っています。小学校の見学では、学年ごとに見学されることが多いので2クラスや3クラス受け入れの場合はこういった対応をしているんです。

他にも様々な事業展開をしていて、環境プラザが拠点となって例えば環境団体や関連施設、企業などと、協働、連携し、環境活動のネットワークやつながりを深めていけたらと思っているんです。例えば市民の方が自主的に環境活動を行う際には、環境プラザで人材を派遣することもできますし、市民と団体をつなげるコーディネートも行っていて、環境活動団体やNPOのご紹介もしています。その中の1つに講師派遣制度というのがあります。

EC:環境保全アドバイザーや環境教育リーダーといった方々の派遣ですね。

高森さん:環境保全アドバイザーとは、環境に関する専門分野の方を講座や学習会などに講師として派遣する制度です。

EC:無料ということを聞いたのですが。

高森さん:環境プラザが講師料を負担していますので、札幌市内で活動されている団体の方々は無料でご利用になることが出来ます。みなさん環境分野において専門家の方々なので、自然保護や消費生活など主催される方の様々なオーダーに合わせて環境プラザで選定し、ご要望にお答えしているという訳です。

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高森さん:小学校の総合学習では、自然観察会などで助言をしてくれるリーダーの方を、状況に応じて複数派遣することが出来ます。また、グループの勉強などで自分たちだけではちょっと難しいな…という時に、この制度を活用して頂いて、環境活動の取り組みの一つとして、みなさんのヒントになればと思っています。

また、市民向けの講座なども行っていて、これは「NPO法人環境活動コンソーシアムえこらぼ」さんとの協働で実施しています。環境プラザだけでやるのではなく、市民団体の専門性やネットワークの強みを活かし、市民のニーズを捉えた講座の企画を展開できるのではないかと思っています。

▲NPO法人環境活動コンソーシアムえこらぼ
個々の市民団体・グループが、それぞれの能力を持ち寄り、他の主体との協働の幅を広げ、環境の保全に対してより効果的な取り組みを進めるための枠組みとして「環境活動コンソーシアム えこらぼ」を設立。環境活動や市民活動の連携を推進し、また、コーディネートすることによって、個々の取り組みと、協働の取り組みとが、相互に好影響を与えあい、環境保全の推進に寄与することを目的とし、幅広く活動中。


EC:「えこらぼ」さんはこちらで環境相談をされていますよね。

高森さん:はい。環境相談は月水土の1時から5時までで、「えこらぼ」さんはそれぞれが様々な環境活動に取り組んでいる団体の主だった方たちが集まってコンソーシアムを組まれているので、幅広く多岐に渡る相談にも的確に対応されています。

EC:以前、環境プラザに来た時、企業の方が来てCSRの相談をされていたのを見たことがあります。

高森さん:環境相談の対象は、市民や企業、そして子どもまで幅広く、夏休みにはたくさんの子どもたちが宿題等の調べ学習にやってきます。中には親御さんの方が熱心だったりする時もあって、子どもたちは展示物で遊んでいて、親御さんが変わりに宿題を調べに来るなんてこともたまにありますね(笑)。

1階には情報センターがあり、9時から20時までエルプラザ4施設の男女共同参画、消費、市民活動、環境に関する分野に特化した図書やDVDも貸し出ししています。

EC:当社でも環境問題やセクシュアルハラスメント、個人情報などといったDVDを会社の教育で使用するのに、以前から結構利用させてもらっています。

高森さん:ありがとうございます。

▲CSR〜企業の社会的責任〜
CSR(Corporate Social Responsibility)は「企業の社会的責任」と訳され、企業が利益、経済合理性を追求するだけではなく、ステークホルダー(利害関係者)全体の利益を考えて行動すべきであるとの考え方で、環境保護のみならず、法令の遵守、人権擁護、消費者保護などの分野についても責任を有するとされている。



つながりを広く強く

EC:環境プラザ独自の事業もやられていますよね。

高森さん:今、環境プラザが力を入れているのが出前講座です。環境プラザの職員がここにある展示物や環境教育プログラムを用いて様々な場所に出張しています。

EC:地球温暖化ふせぎ隊のような感じですね。お祭りとかに出向いて行ったりということですね。

▲地球温暖化ふせぎ隊
地球温暖化ふせぎ隊は、温暖化防止をテーマとして北海道環境財団が実施する環境教育事業で、環境の中での取り組みを広げていくことを目指して、温暖化防止をテーマとしたプログラムの企画、制作、実施や学習相談などの事業を行っています。
地球温暖化ふせぎ隊 http://www.heco-spc.or.jp/husegitai/


高森さん:そうですね。ふせぎ隊さんとはよく隣同士になって出展していますね。ふせぎ隊さんの活動は刺激になります。先日は水道記念館のお祭りに一緒に行ってきました。児童会館や区のお祭りなどにも行きますが、最近児童会館でもエコに力を入れていて、エコに関するお祭りなどには環境プラザも是非出展して欲しいと声がかかるんです。折りたたみの発電自転車や、新しく出来た水の循環がわかる展示物などを持ちこみ体験してもらっています。

環境プラザに来る人たちを待っているだけではなくて、色々な場所に出向いて環境への取り組みや、環境プラザのことをもっと知ってもらうために、どんどん外に出てPRして行きたいと思っています。

EC:待っているだけでは、関心のある人など限られた人だけになってしまいますからね。

高森さん:そうです。なのでどんどん外に飛び出してみようと思っています。

また、今年は企業の方とのコラボ企画ということで、CSR特集など企業の取り組みを環境プラザのスペースを使って、パネル展示などでPRしていきたいと思っています。今、いくつか企業の方から声を頂いていますが、環境に配慮した生活や様々な取り組みを環境プラザから発信して行こうと考えています。また企業交流会ということで、企業や市民団体、行政の方たちの事例発表や交流会などが出来ればと思いまして、NPO団体の方と連携して進めているんです。

EC:環境プラザが中心として行っている環境関連施設プロジェクトというのを進めていると聞きましたが、これはどういったプロジェクトなのかお話していただけますか。

高森さん:札幌市内に環境に関連する施設が12施設ありますが、職員の方々と施設の持つ機能や役割、現状や課題などを情報共有し、何か連携出来ないだろうかと話し合っているところです。それぞれの施設のミッションはありますが、環境というキーワードを通してつながっていくことが大切ということで、もっと色々なことが出来るんじゃないだろとかと。まだ動き始めたばかりといった感じでしょうか。

次回に向けてお互いの施設を知ることからスタートしてはという声があがり、実際に施設を見ることで、様々な連携のアイディアも膨らむのではないかと考えています。なので互いの施設を行き来しましょうと、施設見学会みたいなものを企画している最中です。

これまでにもアイディアは色々と出てきていて、例えば12施設のマップがついたリーフレットを作ったらどうか?ターゲットをどこに絞るか?どこに配布するか?施設に来てもらうのならスタンプラリーの方が良いのでは?すごろく風のマップなど楽しめるものが良いんじゃないか?など、様々なアイディアが出ています。

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高森さん:実は今、環境プラザの廊下に12施設の活動を紹介したパネルを並べてPRをしているところなんです。みなさんにそれぞれの活動を知ってもらったり、施設パンフレットを手に取れるように設置しています。関連施設をまとめてPRできるとても良い機会になったのではないかと思っています。

EC:例えば博物館って環境に関係あるの?っていう問いかけにもなるし、博物館に行った人が「あ〜環境と博物館ってこういうふうにつながってたんだ〜!」っていう気づきにもなりますね。

高森さん:そうなんですよ!それで今回12施設の連携会議がきっかけで、環境プラザとサケ科学館で一つの連携事業が生まれたんです。「親子でまるごとさけ体験」と題し、サケ科学館でサケの生態を学び、そのあと環境プラザに戻ってサケを丸ごと料理するという(笑)。エルプラザ内には料理実習室もあるので、親子で食育も兼ね、互いの施設を有効利用することができました。

12施設が全部つながって一緒に何かをやると言うのは、まだ今は大変かもしれませんが、その中の幾つかがつながって出来ることって結構あると思うので、まずはそういったことからつながりを少しずつ広げて連携を強めていくというのが12施設連携会議の今のテーマです。

EC:今までにないワクワク感のある、楽しそうな取り組みなので、今後の連携事業に期待しています。


気軽に人が集まれるスペースに

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EC:高森さんがこれから環境プラザで「こんなことが出来たらいいな」とか個人的に思っているようなことはありますか。

高森さん:6月に環境プラザ内のスペースを使って「エルプラナイトカフェ」というキャンドルナイトのイベントを実施したところすごく好評だったんです。今後も展示コーナーを使って講座や対談、色々な事業展開が出来たらと思っています。もっと気軽に人が集まれるようなスペースとして活用したいと思っています。

EC:「エルプラナイトカフェ」は私も参加しましたが、本当に大盛況でしたね。確か定員が30名だったと思いますが、椅子が足りなくて追加していましたね。

高森さん:そうなんです、最終的に150名もの方に参加いただき、当日はエルプラザ内の椅子をかき集めました(笑)。

EC:それはすごいですね!確かに私の後ろに追加した椅子が、あっという間に埋まっていきましたからね。

高森さん:最初に市民活動団体による活動発表を行って、次にオーロラ写真家の中垣哲也さんを招いてオーロラの映像を見ながらトークをしていただいたのですが、中垣さんはオーロラ写真家の第一人者で、中垣さんのファンも大勢つめかけていたようでした。

EC:市民活動団体の取り組みは、私も初めて知る取り組みもあったし、中垣さんのオーロラの写真とお話はほんとうに素晴らしいものでしたね。

高森さん:中垣さんから「キャンドルナイトの主旨と自分の話がマッチしていて、僕がやりたかったのはこういうことなんですよ。今回環境プラザさんと一緒にキャンドルナイトが出来てほんとうに良かった。」と言っていただいて、その言葉がとても嬉しくて。新たな試みでしたが、多くの方に見ていただけてやって良かったと思いました。

▲中垣哲也氏
星空やオーロラの魅力をより多くの人に伝えるために、札幌を拠点にニュージーランドやカナダ、アラスカなどで活動中のフォトグラファー。
宇宙を感じ、地球を見つめるAURORA DANCE http://www.aurora-dance.com/

▲さっぽろキャンドルナイト
キャンドルナイトは、『1年中で一番昼が長い夏至の日、夜8時から10時の2時間、みんなで一斉に電気を消して、スローな夜を過ごそう。』というスローライフ運動の一つです。
さっぽろキャンドルナイト http://www.sapporo-candle-night.com/


EC:では最後に環境プラザからのお知らせなどありましたらお願いします。

高森さん:2010年10月から2011年の3月まで毎月全6回「札幌はなぜ、日本人が住みたい街NO,1なのか」の著書で、立松和平氏を父に持つ作家る林心平さんをナビゲートに迎えて、「北海道×動物の人」という対談シリーズを行っています。

特定の動物に魅せられて、深く関わりながら暮らしているゲストを6名迎え、そして札幌に魅せられて暮らす林心平さんとの対談を通して、共通に見えてくる北海道、札幌の自然環境について、今できることを新しい視点から考えてみようという講座なんです。

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高森さん:第1回は10月30日(土)でコウモリの人「写真家 中島宏章氏」を迎えて開催しました。次回は11月27日(土)エゾシカの人「酪農学園大学講師 伊吾田宏正氏」を迎えての対談です。また、オオカミ、カラスなどに魅せられた方々が続きますので、ぜひ足を運んでいただければと思います。詳細は環境プラザのホームページに掲載していますので、ご確認いただければと思います。

EC:こちらも今までにないような対談が目白押しで、私も第1回に参加しましたが、中島さんも素敵な写真とお話、そして林さんとの掛け合いなど最後まで楽しく伺うことが出来ほんとうにお勧めですね。これからも続く対談シリーズを多くの方に聞いて頂きたいと共に私もほんとうに楽しみにしていますね。

今日はありがとうございました。


▲対談シリーズ「北海道×動物の人」詳細はコチラ
札幌市環境プラザhttp://www.kankyo.sl-plaza.jp/work/shinpei/index.html
アースデイ・カフェ告知http://earthdaycafe.seesaa.net/article/166484455.html


▲札幌市環境プラザ
色んな環境問題について知ったり考えたりする施設として札幌市内中心部に位置し、様々な展示物で環境について学んだり、環境に関する情報を発信したりと、札幌市における環境活動の拠点施設としての役割を担っています。




札幌市環境プラザ  http://www.kankyo.sl-plaza.jp/
環境プラザブログ  http://www.kankyo.sl-plaza.jp/blog/



※現在、高森さんは「札幌市こども人形劇場こぐま座」にて勤務されています。
札幌市こども人形劇場こぐま座  http://www.syaa.jp/sisetu/gekijou/kogumaza/


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