2010年11月15日

札幌市環境プラザ 高森さんA

「環境を通してつながっていくことが大切」

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札幌市環境プラザ 高森美希子さん

「身近なことから世界規模までの環境問題を知る入り口的役割として、利用する人たちの様々なニーズに応えていきたい」「日常生活の中で、自分たちに何が出来るかということを考えるきっかけになれば」と来館者との関わりを大切にする高森さんにお話を伺いました。





環境問題への入り口的役割

インタビュアー(以下EC):札幌市環境プラザを含む4つの施設が入った札幌エルプラザ公共4施設(以下エルプラザ)について簡単に説明をしていただけますか。

高森さん:1階は男女共同参画センター、2階に消費者センターと市民活動サポートセンター、そして環境プラザがあります。男女共同参画センターは男女共同参画社会を実現するための活動を支援する拠点施設として講座やセミナー、講演会などの事業を行っています。研修室、ホールなど様々な活動でご利用いただける有料の貸室などもご用意しています。消費者センターは運営が社団法人札幌消費者協会になり、消費者の生活相談窓口やセミナーなどを開催しています。市民活動サポートセンターは市民活動をされているNPOや市民団体の方の支援として無料で活動できるお部屋や印刷機の利用など、様々な形で活動のサポートをしています。

▲札幌市男女共同参画センター http://www.danjyo.sl-plaza.jp/
▲札幌市消費者センター http://www.shohi.sl-plaza.jp/
▲札幌市市民活動サポートセンター http://www.shimin.sl-plaza.jp/

EC:では、いよいよ環境プラザのお話をお聞きしたいと思いますが、まず環境プラザの場所や営業時間を教えて頂けますか?

高森さん:場所は札幌市北区北8条西3丁目で札幌駅北口から地下歩道で直結していてエルプラザの2階。営業時間は9時から18時までとなっています。

EC:2階にエレベーターを上がるとたくさんの展示物が目に入ってきますね。

高森さん:はい。子どもたちが色々な展示物を触って体験出来るなど、環境問題に気づくことが出来る施設になっています。学習するというよりも気づきの場という感じですね。実際に身近なことから世界規模な環境問題まで、地球に今どんなことが起きているのか、まず子どもたちに知ってもらうところから始めるということで、環境問題を知るきっかけ、入り口的役割を果たすのが環境プラザだと思っています。

EC:確かに展示物には私たちの暮らしに身近なテレビや冷蔵庫、トイレなどといった物がたくさんありますね。

高森さん:そうですね。家庭や暮らしの中で身近なものから始まる環境問題から、地球儀などを用いた世界的規模の環境問題まで展示物をとおして知ることができます。

環境プラザの入り口に大きな地球の模型がありますが、環境問題は一つではなく、色々なことが絡み合って起きている問題なんだということを知ってもらうために、環境プラザの地球の周りには7つの支柱があります。

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高森さん:その支柱には水や食、エネルギー、生態系といったキーワードがあって、それらが深く関連して様々な環境問題を引き起こしているということを、子どもたちに知ってもらうための展示となっています。

地球儀は実際の地球を1メートルに縮小したサイズになっていて、例えば柱の一つに水の展示物があるのですが、実際に地球が1メートルだとすると、私たちが生活に使える水はわずかスプーン一杯分しかないということを子どもたちに見てもらうと「えーこれだけなの?」って驚きます。スプーン一杯分の水を日本の人たちだけではなくて、世界中の人たちがみんなで分け合って使わなければいけないよね。それじゃそのために私たちはどうすればいいの?って、敢えて私たちは答えになるようなことは言わずに問いかけるんです。子どもたちがじゃあどうしたら良いんだろう?って、私たちの生活の中で出来ることって何かな?ということを自分たちで考えてもらいたいんです。

また、環境問題ってすごく多岐に渡っていて、国とか人によって問題の捉え方も大きく違ってくると思います。何が正しいのか?って、なかなか結論が出ないこともありますよね。

EC:こちらが良くなればこちらにシワ寄せが来るなんてこともありますからね。

高森さん:そうなんです。ここは子どもたちが自分たちなりに環境問題について、考えるきっかけになるための施設だと思っています。そして気づいて行動につながるような投げかけをしていけたらと思っています。

EC:今の子供たちは環境問題のことを結構知っていますよね。以前、ボランティアで伺った厚別区の児童会館で、ごみに関するゲームをお手伝いした時「紙はビリビリに破いて捨てたらダメなんだけどなぜだか分かるかな?」って聞いたら、「紙は繊維で出来ているから破ると繊維が小さくなって、リサイクルが大変になるんだよねー」って小学校1年生の女の子に言われて、子どもたち侮れないなって思いましたもの(笑)。

高森さん:侮れないですよ。みんな結構知っていますからね(笑)。

EC:親御さんより詳しいかもしれないですね(笑)。


様々なニーズに合わせて

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高森さん:環境プラザは普段、自由に展示物を見て頂いていますが、学校や町内会などから見学に来られる時は、事前にご連絡頂ければ職員が展示物の解説を一つ一つ致しますし、対象や要望など様々なニーズに合わせてプラザ内を見学していただくことが出来ます。

EC:プラザの見学ツアーですね。

高森さん:そうです。展示物の見学の他に環境体験プログラムなどを用意しているので、100人来ても大丈夫なんです(笑)!

EC:どこかで聞いたフレーズですが(笑)、本当ですか?

高森さん:本当です(笑)!100人来られた場合は3つのグループに分けローテーションを組んで対応します。1グループは展示物の見学、1グループは映像や工作・実験などを体験してもらいます。もう1グループはエルプラザ屋上の太陽光パネルの見学いう形で行っています。小学校の見学では、学年ごとに見学されることが多いので2クラスや3クラス受け入れの場合はこういった対応をしているんです。

他にも様々な事業展開をしていて、環境プラザが拠点となって例えば環境団体や関連施設、企業などと、協働、連携し、環境活動のネットワークやつながりを深めていけたらと思っているんです。例えば市民の方が自主的に環境活動を行う際には、環境プラザで人材を派遣することもできますし、市民と団体をつなげるコーディネートも行っていて、環境活動団体やNPOのご紹介もしています。その中の1つに講師派遣制度というのがあります。

EC:環境保全アドバイザーや環境教育リーダーといった方々の派遣ですね。

高森さん:環境保全アドバイザーとは、環境に関する専門分野の方を講座や学習会などに講師として派遣する制度です。

EC:無料ということを聞いたのですが。

高森さん:環境プラザが講師料を負担していますので、札幌市内で活動されている団体の方々は無料でご利用になることが出来ます。みなさん環境分野において専門家の方々なので、自然保護や消費生活など主催される方の様々なオーダーに合わせて環境プラザで選定し、ご要望にお答えしているという訳です。

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高森さん:小学校の総合学習では、自然観察会などで助言をしてくれるリーダーの方を、状況に応じて複数派遣することが出来ます。また、グループの勉強などで自分たちだけではちょっと難しいな…という時に、この制度を活用して頂いて、環境活動の取り組みの一つとして、みなさんのヒントになればと思っています。

また、市民向けの講座なども行っていて、これは「NPO法人環境活動コンソーシアムえこらぼ」さんとの協働で実施しています。環境プラザだけでやるのではなく、市民団体の専門性やネットワークの強みを活かし、市民のニーズを捉えた講座の企画を展開できるのではないかと思っています。

▲NPO法人環境活動コンソーシアムえこらぼ
個々の市民団体・グループが、それぞれの能力を持ち寄り、他の主体との協働の幅を広げ、環境の保全に対してより効果的な取り組みを進めるための枠組みとして「環境活動コンソーシアム えこらぼ」を設立。環境活動や市民活動の連携を推進し、また、コーディネートすることによって、個々の取り組みと、協働の取り組みとが、相互に好影響を与えあい、環境保全の推進に寄与することを目的とし、幅広く活動中。


EC:「えこらぼ」さんはこちらで環境相談をされていますよね。

高森さん:はい。環境相談は月水土の1時から5時までで、「えこらぼ」さんはそれぞれが様々な環境活動に取り組んでいる団体の主だった方たちが集まってコンソーシアムを組まれているので、幅広く多岐に渡る相談にも的確に対応されています。

EC:以前、環境プラザに来た時、企業の方が来てCSRの相談をされていたのを見たことがあります。

高森さん:環境相談の対象は、市民や企業、そして子どもまで幅広く、夏休みにはたくさんの子どもたちが宿題等の調べ学習にやってきます。中には親御さんの方が熱心だったりする時もあって、子どもたちは展示物で遊んでいて、親御さんが変わりに宿題を調べに来るなんてこともたまにありますね(笑)。

1階には情報センターがあり、9時から20時までエルプラザ4施設の男女共同参画、消費、市民活動、環境に関する分野に特化した図書やDVDも貸し出ししています。

EC:当社でも環境問題やセクシュアルハラスメント、個人情報などといったDVDを会社の教育で使用するのに、以前から結構利用させてもらっています。

高森さん:ありがとうございます。

▲CSR〜企業の社会的責任〜
CSR(Corporate Social Responsibility)は「企業の社会的責任」と訳され、企業が利益、経済合理性を追求するだけではなく、ステークホルダー(利害関係者)全体の利益を考えて行動すべきであるとの考え方で、環境保護のみならず、法令の遵守、人権擁護、消費者保護などの分野についても責任を有するとされている。



つながりを広く強く

EC:環境プラザ独自の事業もやられていますよね。

高森さん:今、環境プラザが力を入れているのが出前講座です。環境プラザの職員がここにある展示物や環境教育プログラムを用いて様々な場所に出張しています。

EC:地球温暖化ふせぎ隊のような感じですね。お祭りとかに出向いて行ったりということですね。

▲地球温暖化ふせぎ隊
地球温暖化ふせぎ隊は、温暖化防止をテーマとして北海道環境財団が実施する環境教育事業で、環境の中での取り組みを広げていくことを目指して、温暖化防止をテーマとしたプログラムの企画、制作、実施や学習相談などの事業を行っています。
地球温暖化ふせぎ隊 http://www.heco-spc.or.jp/husegitai/


高森さん:そうですね。ふせぎ隊さんとはよく隣同士になって出展していますね。ふせぎ隊さんの活動は刺激になります。先日は水道記念館のお祭りに一緒に行ってきました。児童会館や区のお祭りなどにも行きますが、最近児童会館でもエコに力を入れていて、エコに関するお祭りなどには環境プラザも是非出展して欲しいと声がかかるんです。折りたたみの発電自転車や、新しく出来た水の循環がわかる展示物などを持ちこみ体験してもらっています。

環境プラザに来る人たちを待っているだけではなくて、色々な場所に出向いて環境への取り組みや、環境プラザのことをもっと知ってもらうために、どんどん外に出てPRして行きたいと思っています。

EC:待っているだけでは、関心のある人など限られた人だけになってしまいますからね。

高森さん:そうです。なのでどんどん外に飛び出してみようと思っています。

また、今年は企業の方とのコラボ企画ということで、CSR特集など企業の取り組みを環境プラザのスペースを使って、パネル展示などでPRしていきたいと思っています。今、いくつか企業の方から声を頂いていますが、環境に配慮した生活や様々な取り組みを環境プラザから発信して行こうと考えています。また企業交流会ということで、企業や市民団体、行政の方たちの事例発表や交流会などが出来ればと思いまして、NPO団体の方と連携して進めているんです。

EC:環境プラザが中心として行っている環境関連施設プロジェクトというのを進めていると聞きましたが、これはどういったプロジェクトなのかお話していただけますか。

高森さん:札幌市内に環境に関連する施設が12施設ありますが、職員の方々と施設の持つ機能や役割、現状や課題などを情報共有し、何か連携出来ないだろうかと話し合っているところです。それぞれの施設のミッションはありますが、環境というキーワードを通してつながっていくことが大切ということで、もっと色々なことが出来るんじゃないだろとかと。まだ動き始めたばかりといった感じでしょうか。

次回に向けてお互いの施設を知ることからスタートしてはという声があがり、実際に施設を見ることで、様々な連携のアイディアも膨らむのではないかと考えています。なので互いの施設を行き来しましょうと、施設見学会みたいなものを企画している最中です。

これまでにもアイディアは色々と出てきていて、例えば12施設のマップがついたリーフレットを作ったらどうか?ターゲットをどこに絞るか?どこに配布するか?施設に来てもらうのならスタンプラリーの方が良いのでは?すごろく風のマップなど楽しめるものが良いんじゃないか?など、様々なアイディアが出ています。

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高森さん:実は今、環境プラザの廊下に12施設の活動を紹介したパネルを並べてPRをしているところなんです。みなさんにそれぞれの活動を知ってもらったり、施設パンフレットを手に取れるように設置しています。関連施設をまとめてPRできるとても良い機会になったのではないかと思っています。

EC:例えば博物館って環境に関係あるの?っていう問いかけにもなるし、博物館に行った人が「あ〜環境と博物館ってこういうふうにつながってたんだ〜!」っていう気づきにもなりますね。

高森さん:そうなんですよ!それで今回12施設の連携会議がきっかけで、環境プラザとサケ科学館で一つの連携事業が生まれたんです。「親子でまるごとさけ体験」と題し、サケ科学館でサケの生態を学び、そのあと環境プラザに戻ってサケを丸ごと料理するという(笑)。エルプラザ内には料理実習室もあるので、親子で食育も兼ね、互いの施設を有効利用することができました。

12施設が全部つながって一緒に何かをやると言うのは、まだ今は大変かもしれませんが、その中の幾つかがつながって出来ることって結構あると思うので、まずはそういったことからつながりを少しずつ広げて連携を強めていくというのが12施設連携会議の今のテーマです。

EC:今までにないワクワク感のある、楽しそうな取り組みなので、今後の連携事業に期待しています。


気軽に人が集まれるスペースに

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EC:高森さんがこれから環境プラザで「こんなことが出来たらいいな」とか個人的に思っているようなことはありますか。

高森さん:6月に環境プラザ内のスペースを使って「エルプラナイトカフェ」というキャンドルナイトのイベントを実施したところすごく好評だったんです。今後も展示コーナーを使って講座や対談、色々な事業展開が出来たらと思っています。もっと気軽に人が集まれるようなスペースとして活用したいと思っています。

EC:「エルプラナイトカフェ」は私も参加しましたが、本当に大盛況でしたね。確か定員が30名だったと思いますが、椅子が足りなくて追加していましたね。

高森さん:そうなんです、最終的に150名もの方に参加いただき、当日はエルプラザ内の椅子をかき集めました(笑)。

EC:それはすごいですね!確かに私の後ろに追加した椅子が、あっという間に埋まっていきましたからね。

高森さん:最初に市民活動団体による活動発表を行って、次にオーロラ写真家の中垣哲也さんを招いてオーロラの映像を見ながらトークをしていただいたのですが、中垣さんはオーロラ写真家の第一人者で、中垣さんのファンも大勢つめかけていたようでした。

EC:市民活動団体の取り組みは、私も初めて知る取り組みもあったし、中垣さんのオーロラの写真とお話はほんとうに素晴らしいものでしたね。

高森さん:中垣さんから「キャンドルナイトの主旨と自分の話がマッチしていて、僕がやりたかったのはこういうことなんですよ。今回環境プラザさんと一緒にキャンドルナイトが出来てほんとうに良かった。」と言っていただいて、その言葉がとても嬉しくて。新たな試みでしたが、多くの方に見ていただけてやって良かったと思いました。

▲中垣哲也氏
星空やオーロラの魅力をより多くの人に伝えるために、札幌を拠点にニュージーランドやカナダ、アラスカなどで活動中のフォトグラファー。
宇宙を感じ、地球を見つめるAURORA DANCE http://www.aurora-dance.com/

▲さっぽろキャンドルナイト
キャンドルナイトは、『1年中で一番昼が長い夏至の日、夜8時から10時の2時間、みんなで一斉に電気を消して、スローな夜を過ごそう。』というスローライフ運動の一つです。
さっぽろキャンドルナイト http://www.sapporo-candle-night.com/


EC:では最後に環境プラザからのお知らせなどありましたらお願いします。

高森さん:2010年10月から2011年の3月まで毎月全6回「札幌はなぜ、日本人が住みたい街NO,1なのか」の著書で、立松和平氏を父に持つ作家る林心平さんをナビゲートに迎えて、「北海道×動物の人」という対談シリーズを行っています。

特定の動物に魅せられて、深く関わりながら暮らしているゲストを6名迎え、そして札幌に魅せられて暮らす林心平さんとの対談を通して、共通に見えてくる北海道、札幌の自然環境について、今できることを新しい視点から考えてみようという講座なんです。

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高森さん:第1回は10月30日(土)でコウモリの人「写真家 中島宏章氏」を迎えて開催しました。次回は11月27日(土)エゾシカの人「酪農学園大学講師 伊吾田宏正氏」を迎えての対談です。また、オオカミ、カラスなどに魅せられた方々が続きますので、ぜひ足を運んでいただければと思います。詳細は環境プラザのホームページに掲載していますので、ご確認いただければと思います。

EC:こちらも今までにないような対談が目白押しで、私も第1回に参加しましたが、中島さんも素敵な写真とお話、そして林さんとの掛け合いなど最後まで楽しく伺うことが出来ほんとうにお勧めですね。これからも続く対談シリーズを多くの方に聞いて頂きたいと共に私もほんとうに楽しみにしていますね。

今日はありがとうございました。


▲対談シリーズ「北海道×動物の人」詳細はコチラ
札幌市環境プラザhttp://www.kankyo.sl-plaza.jp/work/shinpei/index.html
アースデイ・カフェ告知http://earthdaycafe.seesaa.net/article/166484455.html


▲札幌市環境プラザ
色んな環境問題について知ったり考えたりする施設として札幌市内中心部に位置し、様々な展示物で環境について学んだり、環境に関する情報を発信したりと、札幌市における環境活動の拠点施設としての役割を担っています。




札幌市環境プラザ  http://www.kankyo.sl-plaza.jp/
環境プラザブログ  http://www.kankyo.sl-plaza.jp/blog/



※現在、高森さんは「札幌市こども人形劇場こぐま座」にて勤務されています。
札幌市こども人形劇場こぐま座  http://www.syaa.jp/sisetu/gekijou/kogumaza/


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2010年11月10日

札幌市環境プラザ 高森さん@

「環境を通してつながっていくことが大切」

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札幌市環境プラザ 高森美希子さん

「身近なことから世界規模までの環境問題を知る入り口的役割として、利用する人たちの様々なニーズに応えていきたい」「日常生活の中で、自分たちに何が出来るかということを考えるきっかけになれば」と来館者との関わりを大切にする高森さんにお話を伺いました。





グループ活動が色々な場面で評価

インタビュアー(以下EC):今回は「札幌エルプラザ公共4施設(以下エルプラザ)」の中の一つで、様々な展示物から環境について学んだり、情報発信の場として多くの市民に利用されている「札幌市環境プラザ(以下環境プラザ)」の高森さんにお話を伺っていきたいと思います。今日はよろしくお願いします。

では環境プラザのお話を伺う前に、高森さんは環境プラザを含むエルプラザを管理している「財団法人札幌市青少年女性活動協会(以下財団)」に所属されている訳ですが、財団がどういった活動をされているのかを教えていただけますか。

高森さん:当財団は昭和55年に、「グループ活動の振興を図り、青少年の健全育成、青少年・女性の社会参画を図ること」を目的として設立されました。

設立当初はグループ活動の指導や、野外活動、レクリエーションなどの指導や他団体からの依頼によるプログラムの企画・提供などが主だったのですが、グループワークという手法が色々な場面で評価を頂いて、現在では札幌市内の様々な施設の管理運営をさせて頂くような財団に成長しました。

当財団は環境プラザを含め多くの札幌市の施設を指定管理者として管理運営しています。札幌市内104ヵ所ある「札幌市児童会館」や今年度「勤労青少年ホーム」から「札幌市若者支援総合センター・若者活動センター」に名称が変わりましたが、若者の仲間づくりや交流のサポート、地域と若者をつなぐ拠点として様々な事業を展開しています。また、札幌市の受託事業として「札幌市ミニ児童会館」(66館)の管理・運営も行っています。

そのほか、「札幌市定山渓自然の村」という野外施設では、家族連れや小グループでキャンプなどの自然体験が出来る施設として利用いただいています。ここでは職員も様々な自然体験プログラムを提供していて、薪割り飯ごう体験会やドラム缶風呂などのプログラムを用意しています。今年の4月には滝野にある宿泊体験施設「札幌市青少年山の家」と南区にある「札幌市北方自然教育園」の2つを新たに指定管理者として管理運営することになり、環境プラザと自然活動が出来るフィールドとが連携し事業を展開していけたらと思っています。

EC:なるほど。色々なところと連携があると気づきの場が広がって良いですね。

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高森さん:特に自然の村では、四季折々の自然や動植物を楽しむこともできますし、コテージやテントハウスなどの宿泊施設も選ぶことが出来て、設備も環境も充実しているんですよ。

EC:先日、定山渓方面に行くことがあって、自然の村に寄ろうと思いましたが、その日は記念植樹会があったらしく駐車場が一杯で、あきらめて帰ってきてしまったんです。

高森さん:それは残念でしたね〜(笑)。夏場は結構混み合っていて、たくさん予約が入ってるんですよ。それこそ我々も活用しようと思っているのですが、夏場はなかなか予約が取れなくて(笑)。

EC:冬も運営されていますよね。

高森さん:ええ、冬はスノーシュー、歩くスキーなどのプログラムもあって、冬ならではの楽しみ方もあります。

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高森さん:「札幌市こども人形劇場こぐま座」と「札幌市こどもの劇場やまびこ座」も管理運営しています。こぐま座は中島公園にあって、公立では日本初の人形劇の専門劇場です。アマチュアサークルの方たちの人形劇や紙芝居、腹話術なども上演しています。また、やまびこ座は東区にあり、人形劇や児童劇といった児童文化の継承の場として市民とともに創りあげていく劇場を目指しています。人形浄瑠璃の上演なども行われているんですよ。

EC:子ども向けのイメージだったのですが、人形浄瑠璃なども上演されているということで、大人が見ても十分見応えのある、幅広い世代が対象だったんですね。

高森さん:そうですね。また、舞台も近いので一体感を楽しめます。


学校や親とも違う、でも自分の存在を認めてくれる大人

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EC:高森さんが財団に入るきっかけを教えていただけますか。

高森さん:学生の頃、児童専攻で子どもの文化や教育、心理学を学び、児童会館の仕事につきたくてこの仕事を選びました。子どもが大好きで子どもと関わる中で、学生の時に培ったことを活かせたらという気持ちが強かったんです。学校教育ではない地域の中のフィールドで子どもたちと関わりたいと思ったんです。私にとってそれが児童会館でした。

EC:では、財団に入ってから環境プラザに到るまでの高森さんの活動の経緯を教えて頂けますか。

高森さん:最初は児童会館の指導員として、札幌市内の児童会館をいくつか経験しました。当時は子どもたちから「ミッキー」と呼ばれ(笑)、「ミッキータイム」というみんなで遊ぶ集団遊びのプログラムなどをしていました。道具を使わずに、鬼ごっこやみんなで考えた遊びなどをする集団遊びを、4時半から5時くらいに会館の後片付けが終わってから、館内にいる子どもたち全員で体育館に集まって楽しんでいました。

EC:子どもの頃は私も良く学校から一度家に帰って、それから児童会館に行って遊んでいました。児童会館って学校の延長のようだけどちょっと違う、学校よりももう少し伸び伸び出来る場所のイメージがありましたね。それでちょっと安心できる場所だったと記憶しています。

高森さん:そう言っていただけると嬉しいです。まさに子供たちが安心して遊べる、そして色々な子どもたちとつながることが出来る場所を目指しているのが児童会館です。なかなか異年齢で集える場所ってないと思います。学校だと同じ学校の子供たち、同じ学年、同じクラスがメインの友だちになりますが、児童会館は違う学校の子どもたちが出会ったり、中学生や高校生も居たりしてバラエティに富んだ交流ができる場所なんです。

EC:先ほどいくつかの児童会館を回られたと伺いましたが、何ヵ所くらい回られたんですか。

高森さん:最初は手稲区のあけぼの児童会館、その後北区のエルムの森、次の清田中央では指導員から館長として勤務しました。そして新設児童会館立ち上げの準備から関わった西区の新発寒の4ヵ所です。

札幌市では中学校区に1館、児童会館を設立するという目標があって、100館構想が達成されたのですが、その後中学校区に1館だと場所によっては児童会館から遠い小学校の子どもたちは通えない状況があったんです。そこで「ミニ児童会館」といって、学校の空き教室を利用した児童会館が開設されました。本当なら学校が終わってランドセルを一度家に置いてから児童会館に来ないといけないのですが、「ミニ児童会館」は学校の中なので、生徒は学校帰りでも親御さんにきちんと言っておけばそのまま遊んでから帰っても良いんです。また、その中に児童クラブという留守家庭の1年生から3年生までのお子さんを預かるクラブというのもあるんです。

EC:最近は少子化で、子どもたちの来館数も少なくなってきていませんか。

高森さん:それが、留守家庭のお子さんは増えていて、児童会館はたくさんの子どもたちで賑わっていますよ。

EC:最近だと外で遊ぶ方が危険だということがあるかもしれませんね。

高森さん:親御さんも児童会館に行ってくれると安心といったところもあるんだと思います。

EC:やっぱり安心感はありますよね。そういうことを考えると、本当に児童会館って子どもを通して大人や地域にも深く関係しているんだなと思いますね。

高森さん:そうなんです。地域に根ざした児童会館を目指していて、地域の人たちのコミュニティの場であったり、子どもを介して地域の大人たちが子どもの成長を温かく見守っていけるようなそういった場でありたいですね。

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EC:前にボランティアで児童会館に行って、ゲームやキャンドル作りを手伝ったことがあって、児童会館に来ている子どもたちがみんな兄弟みたいな感じで、年上の子が年下の子の面倒をみていて、すごく微笑ましかったです。

高森さん:そうですよね。児童会館の集団の中での役割がちゃんと出来ていて、子どもたちの中でも自分より小さい子の面倒は見てあげなきゃとか、そういう子どもたちの成長を促す場所でもあるんです。だから児童会館では子どもたち同士も職員もすごく濃い時間を過ごしてきたと思います。私が初めて勤務した児童会館に来ていた子どもの中には、すでに成人している子どももいて、環境プラザに遊びに来てくれたりするんですよ。

EC:それは嬉しいですね。

高森さん:そうですね。大人に成長した彼らは、「学校とは違う、親とも違う、でも自分の存在を認めてくれる大人」という意味ですごく児童会館の職員は大切な存在だったんだっていう話をしてくれるんです。子どもって色んな顔を持っていて、学校の顔と家庭の顔と児童会館の顔って全然違うんです。

EC:なるほど。子どもたちにとって、児童会館の職員も大人の役割の一端を担っているという訳ですね。

高森さん:すごく責任のある仕事だと思います。最初の頃はこんなに毎日楽しく子どもたちと遊んで給料を頂いて良いのかな〜って思いました(笑)。でも、子どもたちが大きくなって、「児童会館で色々な影響を受けたな〜」とか「実はあの時、言われたことを今でも覚えてるんだ〜」と言われるたび、言葉ひとつにも責任を持たなくてはと実感します。その分やり甲斐もあって、「あのとき認めてもらったことが、今でもすごく心に残ってるんだ」とか、「真剣にあんな風に叱ってくれたことが忘れられないんだ」って言われたりすると児童会館で働く醍醐味だな〜って思ったりしますね。

EC:学校や家庭にない、身近な大人の役割として児童会館は深いですね。

高森さん:児童会館はすごーく深いんですよ。

EC:私は北広島市なので、児童会館が無いのが残念でなりませんね。

高森さん:子どもたちの遊びや育ちの場ということもありますし、例えば小さなお子さんを持ったお母さんが一人で子育てに煮詰まったりというような時に、児童会館に来たら他のお母さんたちとの出会いがある。お母さんたち同士をつなぐ役目を職員がしたり、仲間やグループが生まれる手助けが出来ればいいですね。それはもう子どもであったり、大人であったり、地域に住むお年寄りもそうですね。

例えばひとり暮らしのお年寄りが、子どもの声が懐かしいなとふと児童会館に立ち寄ってくれたら、児童会館って畑も作っているので、畑づくりのノウハウをいただいたり、一緒に畑を作ったり、子どもたちも良い経験になりますよね。児童会館を介して、地域に暮らす人たちと色々なつながりやふれあいを持てていけたら良いと思っています。

EC:児童会館は児童だけというイメージでしたが、児童を介してみんながつながる会館だということですね。

高森さん:子どもを介して色々な形でつながって行くことが出来るふれあいや交流の場というか、地域に暮らす人たちと共に会館を作っていくというのが理想ですね。

そのあとに現在は「札幌市若者活動センター」に名称が変わりましたが「勤労青少年ホーム」の方に約3年いました。ここは働く青少年の余暇活動の場で、サークル活動やイベント、講座を行い、仲間づくりをサポートしていました。仕事が終わった後に青年が集まる夜の児童会館という感じです。

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高森さん:自分たちでサークルを立ち上げたり、興味のあるイベントに参加したり、文化系もあればスポーツ系のサークルもありますが、一つのサークルだけで活動していても交流が広がらないので、色々なサークルが集まって交流会やお祭り、イベントを行う中でつながりや交流を深められるような工夫をしていきます。

毎日が学校祭みたいな感じで、みんなが夜集まってあんなことやりたいこんなことやりたいって盛り上がるんです。青年たちが自分たちでやりたいことを実現するための手助けがどうできるかが職員側の腕の見せどころでしょうか。

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高森さん:名称が「若者支援総合センター・若者活動センター」に変更になりましたが、以前と変わったのは名前だけではなく、引きこもりやニートと呼ばれる若者のための相談窓口なども開設し、若者の社会的自立や就労支援などにも力を入れています。若者がセンターを拠点にして、地域のまちづくりに参画をし、若者と地域をつなぐ取り組みも行っています。

その後、館長として児童会館に戻り、菊水元町児童会館に勤務し白石区内にあります9館の児童会館の統括も行っていました。

EC:では現場から離れることになってしまったのですか?

高森さん:いえ、現場も兼務なんです。

EC:ミッキータイムもやりながらブロックも担当すると(笑)。

高森さん:もうさすがにミッキータイムは体力の限界でしたが(笑)、白石Tブロック主査という形で兼務していました。その後東区の新生児童会館を経てに環境プラザへやって来たという訳です。


次回は札幌市環境プラザの施設概要などをお届けします。





▲札幌市環境プラザ
色んな環境問題について知ったり考えたりする施設として札幌市内中心部に位置し、様々な展示物で環境について学んだり、環境に関する情報を発信したりと、札幌市における環境活動の拠点施設としての役割を担っています。



札幌市環境プラザ  http://www.kankyo.sl-plaza.jp/
環境プラザブログ  http://www.kankyo.sl-plaza.jp/blog/



※現在、高森さんは「札幌市こども人形劇場こぐま座」にて勤務されています。
札幌市こども人形劇場こぐま座  http://www.syaa.jp/sisetu/gekijou/kogumaza/




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